器への接着/脱着が可能な接着材を開発! 外科手術の簡便化に期待
外科手術の簡便化に期待 2024(令和6)年 5月 26日
国立大学法人岡山大学
<発表のポイント>
* 臓器への瞬間接着、脱着を制御できる無機セラミックス系固体接着材を開発しました。
* 開発した接着材は、軽い圧接だけで肝臓などの臓器に瞬時に接着し、外すこともできます。
* 術中臓器の圧排や医療デバイスの固定など、外科処置の簡便化が期待できます。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)学術研究院医歯薬学域(歯)生体材料学分野の松本卓也教授、岡田正弘准教授(研究当時、現・東北大学大学院歯学研究科)、神戸大学大学院医学研究科肝胆膵外科学分野の福本巧教授、柳本泰明特命教授、大阪大学、九州大学の研究グループは、骨組織の主要構成成分であるリン酸カルシウムの多孔化(孔がいっぱい開いた構造)制御により、真皮や肝臓などの生体軟組織と接着、脱着できる無機セラミックス系固体接着材を開発しました。
さらに、この材料を用いることにより、外科手術の際の内臓臓器の圧排が簡便に行えることを示しました。
この研究成果は2024年5月1日、ドイツ科学誌「Advanced Healthcare Materials」のオンライン電子版で公開されました。
生体組織の接合や体内埋め込み型医療用デバイスの生体内への固定、といった目的には、現在、高分子製の縫合糸や化学硬化型の高分子接着材が広く使用されています。一方、医療現場においてはこれら用途にあたり簡便かつ迅速に使用できる生体組織用接着材の開発が望まれています。
本接着材は合成したリン酸カルシウム微小粉末をある程度の温度で焼くことで、小さな空孔を多く残した多孔質材料です。本材料は生体組織の水分を吸水し臓器表面の線維性分子を効率よく引き寄せ、結果として生体組織、特に内蔵臓器と強く結合します。また、大量の水分を接着界面に供給することで組織に傷をつけずに容易に外すこともできます。
本研究成果は、簡便かつ迅速に強い接着力を示す生体親和性に優れた新しい接着材として、手術における臓器、組織の圧排や医療用デバイスの体内固定への応用など、外科処置の簡便化に寄与することが期待されます。
引き続き、松本教授ら地域中核・特色ある研究研究:岡山大学の取組にご期待ください。
本情報は、2024年5月24日に開催された岡山大学から公開されました。
開発したリン酸カルシウム製軟組織接着材の外観、材料を焼く温度にともない接着力が変化します(左写真とグラフ)。右写真は、本接着材を用いたブタ肝臓の持ち上げ実験の様子です
開発したリン酸カルシウム製軟組織接着材の外観、材料を焼く温度にともない接着力が変化します(左写真とグラフ)。右写真は、本接着材を用いたブタ肝臓の持ち上げ実験の様子です
◆松本卓也教授からのひとこと
この接着材は、一般的な外科手術用途に加えて、イーロンマスクの会社“Neuralink”などで実用化が検討されている体内埋め込みデバイスの固定といった応用にも有効だと考えています。
松本卓也教授
松本卓也教授
◆論文情報
論 文 名:Water-mediated on-demand detachable solid-state adhesive of porous
hydroxyapatite plate for organ retractions
掲 載 紙:Advanced Healthcare Materials
著 者:Masahiro Okada, Shi Chao Xie, Yusuke Kobayashi, Hiroaki Yanagimoto, Daisuke
Tsugawa,
Masaru Tanaka, Takayoshi Nakano, Takumi Fukumoto and Takuya Matsumoto
D O I:10.1002/adhm.202304616
U R L:
https://doi.org/10.1002/adhm.202304616
◆研究資金
本研究は、独立行政法人科学技術振興機構(JST)
CREST(分解・劣化・安定化の精密材料科学領域)「階層性自己組織化複合材料デザイン」(JPMJCR22L5、研究代表:松本卓也)、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(JP20H05225研究代表:松本卓也、JP21K12683研究代表:柳本泰明、JP21K18828研究代表:岡田正弘、JP21H03123研究代表:岡田正弘)の支援を元に実施しました。
◆詳しい研究内容について
臓器への接着/脱着が可能な接着材を開発!外科手術の簡便化に期待
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20240524-1.pdf
◆参 考
・岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(歯)生体材料学分野
https://www.okayama-u.ac.jp/user/biomat/
・岡山大学医歯薬学総合研究研究科
https://www.mdps.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学歯学部
https://www.okayama-u.ac.jp/user/dent/
◆参考情報
・【岡山大学】学術研究院医歯薬学域(歯)松本卓也教授がJST「戦略的創造研究推進事業(CREST)」に採択
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000943.000072793.html
岡山大学鹿田キャンパス(岡山市北区)
岡山大学鹿田キャンパス(岡山市北区)
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(歯)教授 松本卓也
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス 医歯薬融合型教育研究棟 7階
TEL:086-235-6667
FAX:086-235-6669
https://www.okayama-u.ac.jp/user/biomat/
https://www.okayama-u.ac.jp/user/biomat/
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):
岡山大学Image Movie (YouTube):
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年4月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002079.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
* 岡山大学
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