旅行者の交通費を自治体等が負担すると、負担額の4.14倍の直接経済効果が発生
発表のポイント
◆スタートアップ企業のFourwin株式会社(東京都中央区、代表取締役社長:永瀬
駿平)は、旅行者の交通費を自治体等が負担するアプリFreeTrafficの実証実験を北海道島牧村で実施しました。
◆旅行者の交通費を自治体等が負担することで、負担する交通費額の4.14倍の直接経済効果※1が発生したことがわかりました。
◆FreeTrafficは旅行者が来ることで恩恵を受ける地方自治体や観光協会、DMOなどが旅行者の代わりに往復交通費を負担するコンセプトのアプリです。
※1:ワーケーション旅行者と車中泊旅行者を除く通常旅行者の直接経済効果です。旅行終了後に旅行者にアンケートを実施して、島牧村でいくらくらいお金を使ったか(交通費を除く)を調査して算出しました。
* 発表の内容
スタートアップ企業のFourwin株式会社は、旅行者の交通費を自治体等が負担するアプリFreeTrafficの実証実験を北海道島牧村で実施しました。(期間は2023年9月22日から2024年3月31日)
実証実験では、41人の旅行者がFreeTrafficを使って島牧村を訪れ、FreeTraffic導入による直接経済効果やPR効果などを計測しました。
その結果、全旅行者41人の自治体の交通費負担額は415,574円だったのに対して、直接経済効果総額は約964,230円となり、交通費負担額の2.32倍の直接経済効果が発生したことがわかりました。
また、ワーケーション旅行者(13人)と車中泊旅行者(5人)を除く通常旅行者(23人)の場合、自治体の交通費負担額は108,669円だったのに対して、直接経済効果総額は約450,000円となり、交通費負担額の4.14倍の直接経済効果が発生したことがわかりました。
今回の実証実験によって、自治体側が旅行者の交通費を負担することで、旅行者の旅行のハードルを下げて、大きな経済効果が期待できることがわかりました。
* 実証実験参加者についての基本情報
■性別
■年齢
■旅行者の出発地点
■旅行者のタイプ
・通常旅行者(23人):
ワーケーション旅行者(13人)と車中泊旅行者(5人)を除く通常の旅行者。
・ワーケーション旅行者:
ワーケーションサービス「No 農 No Life」を利用した旅行者。「No 農 No
Life」は一次産業で1日3~4時間のお手伝いをすると宿泊場所が提供されるサービス。一次産業から宿泊施設に支払われる金額は1泊あたり3,980円のため通常旅行者よりも直接経済効果が少ないが、より深く地域と繋がるため関係人口増加の効果が期待できる旅行者。
・車中泊旅行者:
宿泊施設を利用せずに自家用車に宿泊したユーザー。FreeTrafficの本番運用時は、交通費分のポイントを獲得するために宿泊施設での宿泊が条件になるので、サービスの対象外となる旅行者。
■島牧村に何泊しましたか?
* 自治体側の投資効果
FreeTrafficを利用して島牧村を訪れた実証実験参加者に旅行終了後にアンケートを実施して、自治体側にとっての投資効果を測定しました。
■アンケート項目
「あなたは島牧村滞在中、いくらくらいお金を使いましたか?
おおよそで結構ですので、宿泊費や飲食費、お土産などを含めてこの旅行中の「交通費を除いた費用」、全てでお考えください
※複数人でFreeTrafficアプリを使った場合は、ひとりが使った費用でお考えください。※お子様などといらっしゃった場合は、お子様を含めた費用でお考えください。」
結果をまとめると次の通りとなりました。
■全旅行者41人の直接経済効果
全旅行者41人の自治体の交通費負担額は415,574円だったのに対して、直接経済効果総額は約964,230円となり、交通費負担額の2.32倍の直接経済効果が発生したことがわかりました。1泊あたりの直接経済効果の平均は12,587円となり、中央値は11,250円となりました。
■通常旅行者23人の直接経済効果
通常旅行者23人の自治体の交通費負担額は108,669円だったのに対して、直接経済効果総額は約450,000円となり、交通費負担額の4.14倍の直接経済効果が発生したことがわかりました。1泊あたりの直接経済効果の平均は15,300円となり、中央値は12,500円となりました。
■ワーケーション旅行者13人の直接経済効果
ワーケーション旅行者13人の自治体の交通費負担額は300,178円だったのに対して、直接経済効果総額は約461,730円となり、交通費負担額の1.54倍の直接経済効果が発生したことがわかりました。1泊あたりの直接経済効果の平均は8,588円となり、中央値は8,265円となりました。
ワーケーション旅行者が一産業でお手伝いをすると、1泊あたり3,980円が一次産業から宿泊施設に支払われるため、ワーケーション旅行者は通常旅行者と比較して宿泊施設への直接経済効果が少なくなります。
またワーケーション旅行者は比較的年齢層が低いため現地で消費する金額も少ない傾向にあると考えられます。これらが、ワーケーション旅行者の投資対効果を1.54倍という比較的小さな数値になった要因であると考えられます。
しかし、ワーケーション参加者はより深く地域と繋がるため、関係人口増加の効果が期待でき、継続的に地域を訪れて長期的な経済効果をもたらしながら、地域の労働力不足問題の対策にもなるため、短期的な直接経済効果では測れない価値をもたらします。
■車中泊旅行者5人の直接経済効果
車中泊旅行者5人の自治体の交通費負担額は6,727円だったのに対して、直接経済効果総額は約52,500円となり、交通費負担額の7.8倍の直接経済効果が発生したことがわかりました。1泊あたりの直接経済効果の平均は10,500円となり、中央値は7,500円となりました。
車中泊旅行者は宿泊施設に支払うことがないため直接経済効果は少なくなることが予想できますが、車で来れる距離の近場が旅行出発地点になる傾向があるため交通費負担額が小さく、投資対効果は大きくなることが考えられます。
しかし今回は車中泊旅行者が5人と、検証できた数が少ないため統計的に有意な数値を計測するためには、さらなる実証実験が必要です。
全体を通して、FreeTrafficを導入すると自治体に投資額以上の直接経済効果が期待できることがわかりました。
* PR効果
FreeTrafficを利用して島牧村を訪れた実証実験参加者に旅行終了後にアンケートを実施して、自治体側にとってのPR効果を測定しました。
■アンケート項目
「あなたは今回の旅行の前から島牧村をご存じでしたか」
旅行者の48.8%が島牧村に行ったことがなく、旅行者の31.7%が島牧村のことを知らないユーザーでした。
今回の実証実験では、広告プロモーションに費用をかけておらず、主に「交通費を負担せずに島牧村に旅行ができる」という口コミによって参加者が広まりました。
直接経済効果だけではなく、PR効果が期待できます。
* 旅行ハードルをどの程度下げられたか?
FreeTrafficを利用して島牧村を訪れた実証実験参加者に旅行終了後にアンケートを実施して、旅行ハードルをどの程度下げられたかを測定しました。
■アンケート項目
「あなたが今回の実証実験に参加したいと思った理由はなんですか?当てはまるものを全てお選びください。」
交通費が無料または安くなるから島牧村に旅行をしたという旅行者が75.6%いました。
交通費の負担を減らすことが旅行をする大きな理由になることがわかりました。
* 継続誘致効果があるのか?
FreeTrafficを利用して島牧村を訪れた実証実験参加者に旅行終了後にアンケートを実施して、継続誘致効果があるのかを測定しました。
■アンケート項目
「島牧村へまた旅行してみたいですか」
「交通費を負担してでも行きたい」と回答した旅行者が68.3%、「交通費を負担しなくても行きたい」と回答した旅行者が24.4%いました。
旅行者の92.7%が島牧村にまた行きたいと考えていることがわかり、大きな継続誘致効果が期待できることがわかりました。
これらの旅行者は自治体に長期的な経済効果をもたらし、関係人口増加なども期待できます。
* 考察と今後の展開
今回の実証実験を通して、FreeTraffic導入による経済効果、投資対効果、PR効果、継続誘致効果などを実証することができました。
北海道の島牧村というアクセスが恵まれているとはいえない地域で、冬場の閑散期に、これだけの旅行者を呼び込むことができて、これだけの経済効果が計測できたことはFreeTrafficの大きな可能性を示しています。
交通アクセスがよく、多くの観光コンテンツが充実している自治体では、さらに大きな投資対効果が期待できます。
今後は、人口減少を課題とする小規模自治体での導入を増やして地方創生を実現しながら、すでに観光コンテンツが充実している中規模、大規模自治体での実証実験を重ね、FreeTrafficを日本中、世界中に広めていきたいと考えています。
* FreeTrafficの概要
FreeTrafficは旅行者の交通費を実質無料にして人の移動を活発化させて、地域を活性化させることを目指すアプリです。旅行者が来ることで恩恵を受ける地方自治体や観光協会、DMOなどが旅行者の代わりに交通費を負担する世界初※2のコンセプトのアプリです。
旅行者はFreeTrafficを使って旅行をして条件を達成すると、移動にかかった交通費相当のポイントを受け取ることができて、獲得したポイントは現金やPayPayポイントに交換できます。
ポイント獲得の条件は、GPSで出発地点と目的地点を通過したことを検知すること、アプリ内に登録されている宿泊施設で宿泊すること、アプリ内に登録されている対象店で支払いをすることです。
この条件があるために、アプリ側では旅行者の理論的な交通費を算出することができ、旅行者が受け取る交通費以上の経済効果を地方自治体にもたらすことができます。
また、ポイント獲得には宿泊日数に応じた上限があります。北海道島牧村の実証実験では1泊あたり6,000円を上限として設定しています。宿泊日数が増えることで、上限が比例して増えるため宿泊日数を増やすことで遠方からの交通費でも実質無料にすることが可能となります。
※2:国内特許出願済。PCT特許出願済。
* Fourwin株式会社 会社概要
社名: Fourwin株式会社
代表取締役社長 : 永瀬 駿平
所在地: 〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町17―2 兜町第6葉山ビル4階
設立 : 2023年5月
事業内容 : プラットフォーム型Webサービスの提供
資本金 : 200万円
URL:
E-mail:[email protected]
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