2023年度の市場規模は6449億円、2028年度には8000億円市場に成長『電子書籍ビジネス調査報告書2024』7月25日発売Webtoon、IPビジネス、海外展開が今後の成長の軸に

インプレスグループでIT関連メディア事業を展開する株式会社インプレス(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:高橋隆志)は、電子書籍市場の動向を調査し、電子書籍に関する調査結果を発表いたします。また、本調査結果の詳細は、新産業調査レポート『電子書籍ビジネス調査報告書2024』(

https://research.impress.co.jp/ebook2024)として発行し、2024年7月25日(木)に発売いたします(予約受付中)。

本調査は、出版社、編集プロダクション、スタジオ、電子書籍ストア、取次事業者、電子図書館サービス事業者、ベンダー等の主要な電子書籍関連事業者へのヒアリング調査、ユーザーへのアンケート等を元に、各分野の有識者とインプレス総合研究所により分析したものです。なお、本調査報告書は電子書籍ビジネス黎明期の2003年に第1号を発行し、本年で22年目を迎えます。

<<市場規模>>

■2023年度の電子書籍市場規模は前年比7.0%増の6449億円

2023年度の電子書籍市場規模※1は6449億円と推計され、2022年度の6026億円から426億円(7.0%)増加しています。2023年5月には新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行され、コロナ禍以前の生活にほぼ戻り、旅行需要も高まるなどホームエンタテイメントからリアルへと消費者の支出先が変わってきています。一般生活者の余暇の過ごし方が多様化し、コロナ禍以降の特需も完全になくなったといえます。物価上昇による消費マインドの低下も加わり、成長率は2年連続で一桁%となりました。

今後、2028年度には8000億円の市場に成長すると予測されます。

【図表1. 電子書籍の市場規模予測】

【図表1. 電子書籍の市場規模予測】

※1

電子書籍の市場規模の定義:電子書籍を「書籍や雑誌に近似した著作権管理のされたデジタルコンテンツ」とし、配信された電子書籍(文字もの、電子コミック、写真集、電子雑誌等)の日本国内のユーザーにおける購入金額の合計を市場規模と定義。月額定額制の利用料金やマンガアプリの課金額も含む。スマートフォンの縦スクロールで読むことに最適化された作品も含む。ただし、電子新聞や、教科書、企業向け情報提供、ゲーム性の高いもの、学術ジャーナルは含まない。また、ユーザーの電子書籍コンテンツのダウンロード時の通信料やデバイスにかかわる費用、オーサリングなど制作にかかわる費用、配信サイトやアプリ上の広告も含まない。

■2023年度の電子コミック市場規模は5647億円に増加

2023度の電子書籍市場規模のうち、コミックが前年度から448億円増加の5647億円(市場シェア87.6%)、文字もの等(文芸・実用書・写真集等)が同8億円減少の593億円(同9.2%)、雑誌が同17億円減少の209億円(同3.2%)となっています。

【図表2. 電子書籍市場規模のジャンル別内訳】

【図表2. 電子書籍市場規模のジャンル別内訳】

<<利用率調査の結果>>

■有料電子書籍利用率は18.7%、有料での利用率は3年連続で減少

モバイル(スマートフォン・タブレット)ユーザーに対して、この1年間の電子書籍の利用率を調査したところ、有料の電子書籍利用率は18.7%となりました。コロナ禍の2021年をピークに3年連続して低下しています。一方、無料の電子書籍のみの利用率は28.8%となり、昨年から2.5ポイントの増加となりました。

有料での利用率が高いのは、男性20代(25.9%)、男性30代(25.3%)、女性30代(24.9%)、女性20代(24.4%)の順であり、男女とも20代、30代の利用率が高くなりました。また、無料の電子書籍のみの利用率が最も高いのは女性10代(47.2%)となっています。

昨年調査時よりも有料での利用率が明らかに増加している年代は男性40代、女性20代30代です。

ただし、スマートフォンが高齢者にも広まってきていることから、スマートフォンユーザーに占める60歳以上の人口の割合が増加していることにも注意が必要です。有料・無料ともに電子書籍利用率が低い女性60歳以上のスマートフォン利用者が増えていることが、スマートフォンユーザー全体の電子書籍利用率を押し下げる方に作用しています。これらのことから、電子書籍利用人口自体は増加傾向を維持していると推測しています。

【図表3. 電子書籍利用率の推移】

【図表3. 電子書籍利用率の推移】

【図表4. 性年代別電子書籍利用率】

【図表4. 性年代別電子書籍利用率】

<<電子書籍利用者実態調査の結果>>

■ピッコマとLINEマンガの2強が伸長

有料、無料を問わず電子書籍を利用していると回答した人に、利用している電子書籍サービスやアプリを聞いたところ、「ピッコマ」が31.8%(昨年から3.0ポイント増)で最も高く、「LINEマンガ」が30.9%(同2.5ポイント増)、「Kindleストア」が22.0%(同0.9ポイント減)で続きます。上位の顔ぶれは昨年調査と同じですが、「ピッコマ」「LINEマンガ」を利用している割合が増加しています。

【図表5. 利用している電子書籍サービスやアプリ名(複数回答、上位20位まで)】

【図表5. 利用している電子書籍サービスやアプリ名(複数回答、上位20位まで)】

※回答総数3518のうち、当該設問の無効回答を除いて集計している

利用している電子書籍サービスやアプリのうち購入・課金したことのある電子書籍サービスやアプリを聞いたところ、「Kindleストア」が28.0%で最も高く、2位に「ピッコマ」が20.2%、3位に「LINEマンガ」が18.8%で続きます。

【図表6. 利用している電子書籍サービスやアプリのうち購入・課金したことのあるサービスやアプリ(複数回答、上位20位まで)】

【図表6. 利用している電子書籍サービスやアプリのうち購入・課金したことのあるサービスやアプリ(複数回答、上位20位まで)】

※有料電子書籍利用者1598人のうち、当該設問の無効回答を除いて集計している

■“Webtoon”の購入頻度は増加

この数年、日本国内でも韓国発のWebtoonに注目が集まっています。有料電子書籍利用者にWebtoonの購入経験を聞いたところ、「よく課金・購入する」は7.1%、「たまに課金・購入する」が21.0%となり、いずれも昨年より増加し、購入頻度は高まっています。

【図表7. 有料電子書籍利用者の縦スクロールカラーマンガの購入頻度】

【図表7. 有料電子書籍利用者の縦スクロールカラーマンガの購入頻度】

<<調査概要>>

■電子書籍の利用率調査

調査対象 :atocos株式会社 スマートアンサーの保有するアンケートパネル

有効回答数 :10,360サンプル

サンプリング :性年齢階層別スマートフォンでのインターネット利用人口構成比(総務省

通信利用動向調査)に可能な限り整合するように抽出。ただし、年代により回収率が異なっており母集団との乖離が見られるため、比重調整を行った上で分析している

調査手法 :スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート

調査期間 :2024年5月20日~27日

■電子書籍利用実態調査

調査対象 :利用率調査で電子書籍を利用していると回答した人

有効回答数 :3,518サンプル(うち有料利用者1,598)

調査手法 :スマートフォン・タブレットのアプリ上でのアンケート

調査期間 :2024年5月27日~6月4日

<<構成・各章の概要>>

本調査報告書は、電子書籍市場について、市場規模、国内及び米国の電子書籍分野で理解すべき最新動向、各関連プレイヤーの動向、ユーザーの電子書籍の利用動向などを多角的に分析しています。さらに、本年度版では電子コミック及びWebtoonの動向、IP展開の起点とも言えるウェブ小説に関して詳細な解説を掲載しています。

第1章 電子書籍の市場規模

電子書籍の定義を整理。また、電子書籍の市場規模の推移と今後の予測について解説しています。

第2章 国内の電子書籍ビジネスの最新動向

国内の電子書籍の各分野の最新動向を掲載しています。電子書籍市場を深く理解する上で必要な最新トピックスなどを分析を交えながら紹介しています。

第3章 電子コミック・Webtoonの最新動向

市場の中心である電子コミックと縦スクロールコミック(Webtoon)について、プレイヤーの動向や、ビジネスモデルの変化、IP戦略、海外展開、今後の展望などをより詳細に解説しています。

第4章 ウェブ小説の最新動向

電子コミックに関連したIP展開の起点とも言えるウェブ小説に関して詳細に解説しています。

第5章 米国の電子書籍ビジネスの最新動向

米国の電子書籍の最新動向を掲載しています。市場規模と最新トピックスを分析を交えながら紹介しています。

第6章 電子書籍ストア/サービスの動向

15の国内電子書籍ストア/サービスについて個票形式で最新動向を掲載。「特徴・コンセプト」「最新トピックス」「戦略・目標」「各種戦略や施策」「売上動向」「料金モデル・サービス・プラン」「ユーザープロフィール」「課題」など20項目以上にわたり掲載しています。

第7章 モバイルユーザーの電子書籍利用実態

2つのテーマの調査を、モバイルユーザー(スマートフォン・タブレット)を対象にウェブで行い、その結果を掲載しています。

利用率調査では、スマートフォン・タブレットユーザーを対象に、有料、無料の電子書籍利用率や、紙及び電子のマンガ、書籍、雑誌の購読状況等を掲載しています。

電子書籍利用実態調査では、電子書籍利用者の利用実態を詳細に調査。読む電子書籍のジャンル、利用しているサービスやアプリと購入・課金しているサービスやアプリ、電子書籍を読むときや読む場所、電子書籍を読む環境と量、評価、購入・課金状況、縦スクロールのマンガの利用状況の7つの分類に分け、合計27問の調査結果を掲載しています。

特別付録

第7章に掲載したユーザーの電子書籍利用実態調査のグラフ・表をExcel形式で収録しています。

■調査報告書の製品形態、及び販売に関するご案内

書名:電子書籍ビジネス調査報告書2024

著:落合早苗/真柴涼/まつもとあつし/菊池健/飯田一史/インプレス総合研究所

発行所:株式会社インプレス

発売日:2024年7月25日(木)

価格:CD(PDF)版、電子版85,800円(本体 78,000円+税10%)

CD(PDF)+冊子版96,800円(本体 88,000円+税10%)

判型:A4判

ページ数:328ページ

ISBN:9784295020080

詳細、ご予約は右よりご覧ください。https://research.impress.co.jp/ebook2024

https://research.impress.co.jp/ebook2024

以上

【株式会社インプレス】

https://www.impress.co.jp/

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株式会社インプレスホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役:松本大輔、証券コード:東証スタンダード市場9479)を持株会社とするメディアグループ。「IT」「音楽」「デザイン」「山岳・自然」「航空・鉄道」「モバイルサービス」「学術・理工学」を主要テーマに専門性の高いメディア&サービスおよびソリューション事業を展開しています。さらに、コンテンツビジネスのプラットフォーム開発・運営も手がけています。